青い鳥文庫はどのくらいアニメ絵なのか
一つ前の投稿に引き続き。
アニメ風、ラノベ風の児童書表紙を見ていて思ったのですが、現代アレンジの筆頭にあげられがちな「講談社青い鳥文庫」より「角川つばさ文庫」のほうがキツイですね!
つばさ文庫の表紙を見ていたら青い鳥文庫が全然普通に思えてきたので、自宅に所有している数点について少し紹介します。
『大きな森の小さな家』講談社青い鳥文庫
そこまでアニメっぽくないですね。もちろんかわいらしい絵柄ですが。中身はこんな。
大きな森じゃなくて大草原の方ですみませんが、1972年福音館から出た版。
ついでに昨年出た、安野光雅絵・監訳の『小さな家のローラ』。
こども向けというわけではありませんがルビがふってあるので小学校高学年ぐらいから読めると思われます。
これはアニメっぽい!
挿絵も、フルカラーをグレーで出力したみたいな色調ですべて裁ち落としです。
挿絵の点数自体は多くなく1冊中に7点。
トム・ソーヤも名作劇場のアニメの印象が強いです。テーマソング「誰よりも遠くへ」がよかった!
ゆがんですみません。
だいぶ漫画っぽいですが、画風のみならず、焦っているシーンでいちいち顔に汗がかかれているなど技法が漫画的かなと思います。
つばさ文庫の古典ものはうちにはありませんので不明です!
児童書の表紙問題
すでに時機を逸した感がありますが児童書"萌え絵"騒動では何度もTwitterでいろんな人にリプライしそうになりながらも踏みとどまっていて(ついに赤木かん子さん登場!と思ったら本筋じゃない部分が海外クラスタの方々に波紋を起こしており「おっしゃる通りだが今はそこじゃない…」と悶々となり)一言言いたい気持ちが閾値に達してしまい、『ナルコス』シーズン4が待てなくてつなぎに観ている『エル・チャポ』に集中できないくらいになってしまったところ長年放置していたブログの存在を思い出したという次第。
結論としては、「海外在住の方、目立つところだけ見えたら心配にもなるでしょうが、
日本の大きな本屋で児童書の棚を見ると昔ながらの画風のもちゃんと売ってるし大丈夫だよ!」ということです。
ちなみに私は岩波少年文庫と学研の新しい世界の童話シリーズで育ったので、
自分の好みだけを言えば圧倒的に線画派であることを断っておきます。
それともうひとつ、「萌え絵」ってのはまたちょっと違うのではと私は思うので、この文章ではすべて「アニメ絵」と記しています。
1)アニメ絵って今に始まったことじゃない
今回やり玉に上がった「にんぎょひめ」、本屋のくるくる回るラックの厚紙絵本かと思ったら河出から出てるのか!
河出はともかく、厚紙絵本って昔からアニメ絵でしたよね、しかもパースが狂ってるレベルの。
昔はクオリティの低いアニメ絵だったのが、今はイラストとしてのクオリティは相当上がっているので、その面から考えると遥かに進化したといえるのではないでしょうか。
(それより、女の子向けすぎることのほうが気になる。男の子だってお姫さま系のお話は読むのでは?)
そしてアニメといえばディズニーも無視できないと思うのですが、
テニエルのアリスとディズニーのアリスの距離を10とすれば、
今のアニメ絵のアリスは12程度じゃないかという気もするのですが、
…いや、角川つばさ文庫はさすがにもっと遠いか!
でもディズニーのアリスも、テニエルと比べると相当じゃない?
アメリカではディズニー絵本みたいなのはなくて、映画は映画、絵本は絵本ではっきり分かれてるのかな?
(ペラい絵本をもらったことはあるが、あれは本じゃなくておもちゃ扱いな気がする)
# 割と最近、新しくアリスが出てたようなと思っていたが思い出した、佐々木マキイラストのだ!
2)そもそもシンプルな線画 VS アニメ絵という対立構造ではないのでは?
というのは、確実に
・シンプルじゃない芸術的なイラスト
・70〜80年代ごろの漫画っぽいイラスト
という方面も無視できない割合で存在するからです。
例)『桃太郎(新・講談社の絵本)』
どーん! 日本画!
「小さな子供にも、本物の絵の美しさと丁寧さを見ていただきたいと思い新しく編集し」たそうです。
アニメ絵ではないけど、線画寄りというわけでは決してないだろう!
これは想像の余地を奪うのか?? うばわれる気はする! あっとうてきすぎる!
ちなみに今でも現役!何刷りなの!!
なんかこれ見てたら、アニメ絵と日本画の距離ってそんなに遠くないような気さえしてきた。これかわいくすればアニメ絵にならない?ならないか!
あと、桃太郎といえば「まんが日本昔ばなし」の桃太郎かわいいですよね!
例)『てん子ちゃんとアントン』 絵:岡本颯子
これは1979年に出版されたもの。オリジナルのイラストによる版は岩波から出ていますが、他社からも書き下ろしイラストのバージョンが出てたんですね。当時としては相当「まんがっぽい」画風だったと思うのですが、これは想像の余地を奪うのか否か?
# そして当ブログで紹介したときの文章を読み返すと
# 「(娘に)ゆくゆくは『飛ぶ教室』をぜひ読んでほしいので、原作のシンプルなイラストバージョンも読ませてなじませたいわー」と書いてある……だから、私は個人的にはシンプル派なの!
#そして角川つばさ文庫で『飛ぶ教室』の新訳が出ているとな! これは買ってこないと!
例)『三人のおまわりさん』 絵:柳原良平(学研 新しい世界の童話シリーズ 1976)
日本で出版する際に柳原良平が書き下ろしてるもよう。
もともとのイラストは↓こんなだったようです。
柳原良平というと「アンクルトリス」ですが、絵本もいろいろ描かれていて、今も版を重ねています。
アニメ絵ではないもののキャッチーなイラストへの改変ですがこれは線画派の人にとっては可なの不可なの??
例)『空飛ぶ家』 絵:久里洋二 (学研 新しい世界の童話シリーズ1965)
こっちは久里洋二ですよ!
これはかわいすぎるだろう…
原書挿絵はこんな感じ。さあどっちを読みたい!
今現在出ている岩波少年文庫版は初版のイラストを使っているようですが、
私の年代になじみ深いのは上記表紙画像の、挿絵画家桜井誠さんのやつかな? おっしゃれー。原作挿絵よりおしゃれ。
岩波だって書き下ろしを使ってたんだよね〜。
それまでは上記日本画の「桃太郎」とかが主流だったなら、これは当時としては新機軸だったのでは?
ついでにピッピの表紙画像を検索してみたら、こんなにいろいろ出てるのか!
ローレン・チャイルドがイラスト描いたのもありますね。
1990年にポプラ社から出たのは漫画っぽい。
そして角川つばさ文庫、やっぱりこれだけは擁護できないかも! お母さんには厳しい!(個人の感想です)
2)昔ながらの画風のものも、今でももちろん売っている
とまあ、角川つばさ文庫ばかりが印象に残ってしまいそうではありますが、アリスでいえばテニエルなどのバージョンももちろん今でも売られています。
そこらの本屋にもあるということは、それなりに売れているのでしょう。
オリジナルでなくても、いわゆる「児童書の挿し絵」の伝統を汲む画風の作品もたくさん売られています。
たとえば「偕成社文庫」は伝統派?としてポリシーあるラインナップを貫いていますよ。
一度は読んでおきたい海外の古典・名作は、完訳を基本とし、原書の素晴らしさにふれていただけるよう、できる限り原書の表紙や挿絵を使用しています。もちろん、日本の古典・名作も原典に忠実です。
もちろん岩波少年文庫も健在
(装丁としては数十年前よりポップになってますがイラストはオリジナルです)
これはこれで、好んで読む子はいつの時代もいるのです。
それに応える出版社もたくさんあるのです。
選べるんです!
3)線画派の人にとっては「ハウス 世界名作劇場」はナシなの?
アニメ絵の表紙が想像の余地をそぐ。これはこれで納得できる言説な気もします。
ただ、我が身を振り返れば『赤毛のアン』も『家なき少女(ペリーヌ物語)』も『少女パレアナ(愛少女ポリアンナ物語)』も「ハウス世界名作劇場」の方に先に出会っています。
挿し絵どころか全編アニメ絵だ!(アニメだから)
でも出会いこそアニメであれ、特に赤毛のアンに至ってはその後「赤毛のアンシリーズ」「エミリーシリーズ」「ニュー・モンゴメリ・ブックス」を制覇したうえ詩集の『夜警』(ハードカバー版)まで持っているよ!(ただしこれは読んでない)
名作劇場が私の想像の余地を奪わなかったという事実に照らして、アニメ絵の青い鳥文庫が今のこどもの想像の余地を奪っているとは思えないなー
しかしアニメはどうなんだとか言い出したら次は映画化は、となっちゃいますね。
「シンデレラ」の実写とかさー 尺が必要だからいろいろ付け足されるしさー
古典の映画化は、だいたいみんなすでに基本の話を知っているだろうという前提だからいいの?
# ちなみに私は原理主義者なので映画化された作品は「原作を先に読んでから」派。
# ただし『指輪物語』を除く。あれは無理だったわ。映画のおかげで読了できました。ありがとうピータージャクソン!
# そういえば以前『高慢と偏見とゾンビ』を観るために『高慢と偏見』を読んでいたら上映が終わってしまった。打ち切りかよ
5)「漫画しか読まない」子にはみなさん結構理解があるのでは?
今の価値観としては、「本は読んだほうがいいけど、全員が全員読まなくても、興味の対象に打ち込めるならそれでよい」みたいな傾向ないですか?
ステータスをどう割り振るかは人それぞれ。
うちの子は虫に全振りしてるので図鑑に全部つっこんで物語の本はまあ適当に……というご家庭もあるでしょうし、漫画しか読まない、だけど漫画は新旧ジャンル問わず何でも読みまくる、みたいな子はある程度尊重される時代な気がします。
なのに今回、「漫画しか読まない子がアニメ絵に惹かれて古典を読むようになった」という事象が不当に低い評価を得ている気がします。
えー、アニメ絵で読むくらいなら読まないほうがいいの?
昔ながらのが好きな子はそっちを読む、アニメ絵で興味を惹かれた子はそっちを読む、で別によくない?
6)新訳も許さない?
今回、どなたかのTweetで「内容も今どきに変わってるんじゃないだろうな!」的に激しく怒っていらっしゃるのを見かけたのですが(確かめてもいないのにそんなに怒らんでも……)、読み継がれる古典なら新訳って定期的に出ると思うのですがそれもダメなの? 桃尻語訳枕草子、とかそのくらい乖離するとダメなのか?
現実問題、今どき「外套」とか言われてもわからんでしょう。寝台列車も今はないから「寝台」レベルも厳しいかな?
うちの娘に岩波のケストナー全集『ふたりのロッテ』(高橋健二訳)を読ませたらどうにも読みにくくページが進まない様子だったので、新訳の岩波少年文庫(池田香代子訳)を与えてみたところそちらは読めたようでした。いったん読み切ると高橋訳でも『五月三十五日』とか読めるようになったみたいですけど(そういえばケストナーは小松太郎訳も読んだ覚えがあるけど小松太郎版が池田香代子版にかわったのかな)。
新訳は話は別だということかもしれませんが、ホームズとか私が大昔に読んだのは多分こども向けに改変された内容だっただろうけどそれがそこまで問題だった気はしないし、いざ線を引こうと思うと難しいですね。
7)日本の絵本事情は悪くないと思う
かこさとしと安野光雅は日本の宝。
それはさておき、多くのお母さんが読み聞かせを意識して行っているので、
読み継がれる古典的な名作(翻訳創作問わず)にたくさん触れて育った子も多いと思います。
少し大きくなってキラキラのアニメ絵にも惹かれるようになっても、
この、多くのすばらしい絵本に触れた経験はどこかに必ず蓄積されているでしょう。
日本の児童書、とくに絵本はなかなか侮れないと思います。
数十年前より「かわいい」タイプが増えているような気はしていますが、
版を重ねる『名作」は本当にたくさんあります。
唐突にお勧め絵本を。
海外在住の方は、日本にお立ち寄りの際はぜひ大きめの書店の児童書コーナーに行ってみてください。
「うんこ漢字ドリル」など2匹目のドジョウ系ももちろん多いです、
「朝読書」の活動用なのか、安直なアンソロジーものも多いです。
そして確かに、昔に比べるとアニメ絵表紙はすごく多いです。
でも、こどもたちに文化を伝え、豊かに生きてほしいと願っている出版社、
書店員の願いのこもった棚を目にできると思いますよ。
日本のこどもも、昔のこどもと同じくいろんなものを吸収してると思いますよ。
人形の家
- 作者: ルーマーゴッデン,Rumer Godden,瀬田貞二
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/10/18
- メディア: 単行本
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小3娘、おもしろかったよ〜という割にはそんなに盛り上がったふうでもなく。
寄せ集めの人形たち(子供にヒゲを落書きされたりしている)と、
空き箱で作ったおうちで遊ぶというのが
なかなか親近感を持てる設定だし、
その人形の世界でちょっとハラハラする展開があったり
衝撃的な事件が起きたりと十分おもしろいんですが。
私も、女の子たちの暮らす普通の生活の中で、
寄せ集めの人形たちが泣いたり笑ったりしながら
暮らしているという設定が好きだった覚えがあり、
娘にも勧めてみたわけですが、よくよく思い返してみると
そんなに何が印象に残ったのかは覚えていないな〜
私が最も(後半の大事件以外)覚えているのは、
「本物のツタは家を締め付けるが、
(人形の家に)絵で描いたツタは家を締め付けないのでよい」というセリフ。
なぜこの部分を……
あとは私がこれを読んでいるのを見た父が
「こんなのを読んでいるのか!」となにやら驚いており、
母に「んなわけないだろう」と一蹴されていたこと。
数年後、父がイプセンの「人形の家』と思ったことに気づいた、という思い出です
(そしてイプセンは読んでない。そもそも母はともかく父も絶対読んでない)。
虫が嫌いな母と虫が嫌いで恋の話が好きな娘
母親が虫が苦手だと子供も虫が苦手になるっていうじゃないですか。
まあそうなる可能性は高そうですよね、異論はありません。
なので私も、積極的に虫と戯れはしないまでも(そもそもインドア派なんで外に連れ出すだけでも結構な努力なわけですよ)ミミクリーズでなかなか強烈な虫がアップでどーんと出てきてもギャーとか言わずに「秘儀!10分の1目(©我が友みんみん@『Cube』要するに薄目)」で対処するとかマンションの廊下にヤモリがいたら微妙に距離を取りつつも「ヤモリだよー見てごらん(棒)」とか多少の努力はしてきたわけじゃないですか。
でもまあそんな程度じゃあ焼け石に水、わが子も今では立派な虫嫌いです。
で、その話は置いといてですね。
我が家の小3女子、『12歳。』という小説だかマンガだかが読みたいと申すのです。
コレ?
お友達から仕入れてきた情報のようですね。
調べてみると「JSのバイブル」と言われている作品とのこと。
ちゃおのマンガでアニメ化されたのね、ちゃおか……
「第1話で、主人公カップルが付き合い始める前にすでにキスシーン」。
……お母さんの趣味じゃないわ〜〜〜〜〜〜!
「へーこういうの好きなんだ」(ドン引き)
「わたしね、恋の話が好きなんだよ!」
マジか。
「へ〜〜〜お母さんは殺人事件とかが好きだわ……」(娘ドン引き)
以上のエピソードから何が言いたいのかと申しますと、
母が興味なくても勝手に恋の話が好きになるんじゃん!
だったら虫も勝手に好きになれるんじゃないの??
なによー人のせいにばっかりしないでほしいわーという主張をしたいというわけです。
恋の話ね〜
お母さんの蔵書にはなさそうだわ〜
『キャンディ・キャンディ』ぐらいなもんだわ。『冷蔵庫にパイナップル・パイ』は多少恋心的な要素があるか?
冷蔵庫にパイナップル・パイ 1 (YOUNG YOU漫画文庫)
- 作者: 岩館真理子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1999/07/16
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あ、『高慢と偏見とゾンビ』見ない? お金持ちが恋愛して(ゾンビと戦いながら)結婚する話よ〜(たぶん)
「絶対観ない」。
ですよね〜。
- 作者: ジェイン・オースティン,セス・グレアム=スミス,安原和見
- 出版社/メーカー: 二見書房
- 発売日: 2010/01/20
- メディア: ペーパーバック
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長い長いお医者さんの話
- 作者: カレル・チャペック,ヨセフ・チャペック,Karel Capek,中野好夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/06/16
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これは本当におもしろくて挿絵もかわいくて、
子にも絶対読ませようと思っていた作品。
しかし懸念が一点あった。
「訳:中野好夫」
英文学者じゃん!てことは重訳じゃん!(原語はチェコ語)
(中野好夫といえば私の中では『闇の奥』。
大学の英語の授業で原書を読まされて、すぐ訳書に逃げた思い出が……)
うーん、私も重訳ので問題なく楽しんだし、そんなに目くじら立てることもないかな、でもやっぱり現代の感覚からするとオリジナルに近いものを読ませたいような気も……
岩波以外にするか?
フェリシモが2008年に『お医者さんのながいながい話』として出版してる。
でも品切れっぽいな
そして岩波の9編が収録されているわけではなく、「長い長いお医者さんの話」だけみたい。
なにより、描き下ろしのイラスト(挿絵は見てないのでわからないけど)もかわいいけど、やっぱり、やっぱりヨゼフの挿絵がないとだめなのよ!
となると『カレル・チャペック童話全集』がチェコ語からの直訳。
- 作者: カレルチャペック,Karel Capek,田才益夫
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2005/05
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もちろん挿絵もヨゼフのもの。
しかも岩波に収録されていない2編も収録。
だがいかんせん大人向け。
漢字が読める読めない、字が大きい小さいのレベルでなく大人向け。
なじみのない言葉はすべて割注。
まあ重訳でもいいか、と観念して岩波少年文庫(ハードカバーは品切れ)版を購入したところ……なんと訳者あとがきでチェコ語版と比べて手を加えた、
人の名前、土地の名前などはチェコスロヴァキアのものに変えた、と明示してあるじゃないですか!
なーんだ!これさえチェコのものになってれば、ほかが重訳かどうかなんて私にはわかんないよ!
ノープロブレム!
というわけで、悩む必要は一切ありませんでしたことをお知らせします。
ちなみに娘は「おもしろいーーーー!」と最上級の評価(過去の最上級評価獲得作品は『三人のおまわりさん』『三人のシュタニスラウス かみ舟のふしぎな旅』『ちいさいモモちゃん(シリーズ)』)。
乗り換え待ち用に旅行に携帯させたところ、ややもするとホテルで続きを読みふけろうとするほどでした。お願い、せっかく遠くまで来たのよ……
「お母さんのおすすめの本はどれもものすごいおもしろい! みんなにもおすすめしたい!
(けどしない)」と母の選書にお墨付きを与えてくれた一冊となりました。
兄のヨゼフ・チャペックによる『こいぬとこねこは愉快な仲間』も楽しいお話です。
こいぬとこねこは愉快な仲間―なかよしのふたりがどんなおもしろいことをしたか
- 作者: ヨゼフチャペック,Josef Capek,いぬいとみこ,井出弘子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 1996/11
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こちらも本来の児童書としての位置より少し年上向けに出版されているのですが、これは読み聞かせならぜんぜんいけると思います。長いけど。
漢字さえ読めれば、小学校中学年から自分で読めるのでは。
ズボンに穴が開いたらミミズで縫うといいですよ。
岩波少年文庫『長い長いお医者さんの話』収録
- 長い長いお医者さんの話
- 郵便屋さんの話
- カッパの話
- 小鳥と天使のたまごの話
- 長い長いおまわりさんの話
- 犬と妖精の話
- 宿なしルンペンくんの話
- 山賊の話
- 王女さまと小ネコの話
(寺村輝夫によるエッセイ付き)
- とってもながーい猫ちゃんの童話
- お犬さんの童話
- 小鳥ちゃんの童話
- 大肥満のひいお祖父さんと盗賊の話(第一の盗賊の童話)
- 水男(かっぱ)の童話
- 第二の盗賊の童話(礼儀正しい盗賊の話)
- 正直なトラークさんの童話
- とってもながーいお巡りさんの童話
- 郵便屋さんの童話
- とってもながーいおいしゃさんの童話
- 魔法にかかった宿なしトラークさんの話
- 幸せなお百姓さんの話
ひとりでできるもん!
「ひとりでできるもん!」初代舞ちゃんの平田実音さん、若くして亡くなってしまいましたね……。まいんちゃん、そして現在のクックルン、すべてこの番組から始まった、エポックメイキングな作品でした。
1990年スタートなので平成ですけど、舞ちゃんありがとうの気持ちを込めて。
私は当時のターゲット世代ではないのですが、受験を控え帰宅時間が早くなったので毎日観ていたんですね(あと『パラソルヘンべえ』『母と子のテレビ絵本』『おかあさんといっしょ』あたりを全部観る毎日……)。
「包丁で切るときは左手は猫の手」。この常識を世間に広めたのはこの番組の功績では!? 料理に関する名曲の数々(「麺麺麺、世界の麺類み〜なきょうだい♪」「スープはビシバシ、ビッシソワ〜ズ〜♪」)、そして「バッチリチリコンカーン」などのセリフは今でも思い起こされます。
第1シリーズでは、最初のころはおにぎりなどをたどたどしく作っていた舞ちゃんが、最後はフルコースを作るまでになって。第2シリーズでは、弟のブンちゃん(ちょうかわいい。文房具の文ちゃん、というフレーズだけ覚えているが詳細を忘れた!)が加わり、料理だけでなく掃除など家事全般が扱われるようになりました。「ハムスターは風呂に入れてはいけない」とか。
第3シーズンになると私もなかなかリアルタイムで観られなくなり、ビデオテープの時代なのでそうそうすべてを録画して見るわけにもいかず、記憶もかなり薄れているのですが舞ちゃんのドッペルゲンガーが現れたり壮大な話になったような。でも今のクックルンも宇宙からの侵略者から地球を守る話なのでこのへんも伝統か?
当時の放送内容を書き残してくれている人がいますので内容についてはこちらをご参照ください。
今でもクックルンの枠は再放送が多く、「これ観るの何回めだよ!」となるのですが、当時新聞のテレビ欄の投書欄に「すっごく楽しみにしてるのに再放送ばかりでがっかり」と投書が載っていたのを思い出します。お子さんが楽しみにしているお母さんの投書だったと思う。投書するほどですか! でも一回や二回で消えていくよりいい気がするんだけどな〜。
娘は保育園時代に舞ちゃんから伝授された方法、「おにぎりを作るときは茶碗とラップを使う」でおにぎり作りデビュー。共働き家庭なためなかなか料理を手伝わせる余裕がないのですが、そのうち上記のまいちゃん料理本を参考にしよう、と思っていた矢先の訃報でした。
教育テレビ好きとして、『みんなの広場だ!わんパーク』も毎週のように観ていました(教育テレビの「ダリオ」といえばイタリア語講座でなくわんパークを思い起こす)。すてきなお姉さんになった姿も、この目にしっかり焼き付いてます。平田実音さん、ありがとう。
追記
舞ちゃんと文ちゃんの写真の切り抜きをついこの間まで持ってたはずなんだよな〜と探していたら、目的のものとは別にこんなものが出てきました。
お菓子のおまけに「クッキングカード」なるものが入っていたようです。
裏
森永、とあるのでハイソフトかなんかではと思うのですがさっぱり覚えてません。
しかしこんなコラボ商品まで出ていたとは!
我輩はカモである
別に21世紀生まれの人にマルクスブラザーズ観せなくてもいいとは思うんですよ。
(原題:Duck Soup/1933/パラマウント)
ただ、私は、
「ドリフでもおなじみだった『鏡のコント』を初めて観る人を見たい」
のです。
ドリフのコントの方の解説はこちらにあります通りです。って、ジュリーと志村けんだったんだっけ、そのへんは記憶が曖昧でした。幼稚園のときからジュリーファンなのに!
で、この本家本元?のマルクスブラザーズの鏡のコント、その昔夫に観せたときも「え、そこまで……?」というぐらい大ウケだったのでぜひ家族全員で笑いたい。
が、『我輩〜〜』のDVDには字幕しかないし、その字幕もこんなDVD買うのマニアだけだろうということで視認性より正確さを確実に重視している雰囲気だし、ちょっと全編観させるのは厳しいかな〜。MGM時代に入ると美男美女ラブストーリーが軸になって音楽が多いからまだわかりやすいかもしれんがパラマウントはな〜〜。……コントのとこだけYouTubeでみせればいいか。でもさすがにもうちょっと前のシーンから見せないと、なんで隠れてるのかとかわかんないか〜〜。とグダグダ迷ってます。
と、ここまで書いて下書きに入れて数ヶ月。ついに見せてみましたよ。DVDをなんとなく流していて、鏡のコントの直前あたりで「これ見てごらんよ〜」。さて、その反応は……
おもしろがってはいたものの、わりと「見つかっちゃう!ドキドキ!」に弱いタイプなので、おもしろさより先に「バレちゃう!」という心配のほうが勝った感じでした。ポイントポイントでは吹き出してはいましたけど、まあそこまで爆笑とはいかず。
よく考えてみたら私もドリフ版でそこまで笑い転げた覚えもなく(もちろん面白かったですよ)、夫の爆笑っぷりが「そこまで笑うか!?」レベルのものだった気がしてきた。君笑いすぎだよ。
ただ「バレないかどうか心配することがキモではない」シーンだとわかったところで、またしばらくしたら見せてみようかな〜。でも次は『オペラは踊る』の「すっごい狭い船室に何人入れるか」シーンも待ってるのであった。